夕暮れ時

足下に横断歩道を行き交う老若男女の

その流れを見ながら

散髪をする

散髪というか

近ごろはなんやろか

ヘアサロン的なところに通っている

「ちょっと髪をもう少し伸ばしたいんですよねいいですか」

などと言われながら曖昧にうなずきながら鏡の前に

座っている

25年ほど

ほぼ坊主頭のようなそんな髪型であったのであるが

散髪に行く時間もないまま

半世紀以上の自分史において

もっとも今髪の毛が長いかもしれない

若すぎるからと許されないなら

髪の毛が長いと許されないなら

今の僕に残っているのは

涙をこらえて歌うことだけさ

という歌が昔 あったな

1970年代

若者たちがみんな自由に生きていたような気がする

もちろんそんな気がするだけでそんなことはないのだろう

ただ東京の大学生であった従兄は間違いなく自由であった

髪の毛を肩まで伸ばし世界を放浪しときどきギターを抱えては我が家にやってきて

しばらく居候していた

ああ俺も大学生になったら髪の毛を伸ばしギターを抱えてアジアやアフリカを放浪するのか

とぼんやり小学3年か4年の少年は考えていたけれど

髪を伸ばすことなくギターを抱えることなく

アジアやアフリカを放浪することになる

やはり

なんというか

身近にいて

自由に生きている人間は

強烈な影響を子どもに与えるんやな

そう思う次第である